Drop3ボイシング入門 — Drop2の次に覚えたいジャズギターの響き
著者 Masashi Y.
「Drop2は覚えたけど、次に何を練習すればいいかわからない」 「もう少し広がりのある響きが欲しい」
Drop2ボイシングを使いこなせるようになると、自然と次のステップが気になるものです。
その答えのひとつが、Drop3ボイシングです。Drop2と同じ「構成音をオクターブ移動する」という考え方の延長にありながら、スキップ弦(弾かない弦が間に入る)を含む独特のフォームが特徴です。
この記事では、Drop2の知識がある前提で、Drop3の仕組みと実用的な使い方をギタリスト向けに解説します。Drop2をまだ学んでいない方は、先にDrop2ボイシング入門をご覧ください。
Drop2とDrop3の違い
おさらいです。Drop2は「クローズドボイシングの上から2番目の音を1オクターブ下げる」ルールでした。
Drop3は、「上から3番目の音を1オクターブ下げる」ルールです。
Cmaj7で比較する
クローズドボイシング(基本形):下からC - E - G - B
- Drop2:上から2番目のGを下げる → G - C - E - B
- Drop3:上から3番目のEを下げる → E - C - G - B
Drop3ではより低い音(3番目)を下げるため、最低音と残りの3音の間に広いインターバルが生まれます。
Drop 2
Drop 3
Drop2が4本の隣接弦にきれいに収まるのに対し、Drop3はスキップ弦(弾かない弦が間に挟まる)を含むフォームになるのがギターにおける大きな違いです。
Drop3ボイシングの仕組み
手順
- 4つの構成音をクローズドボイシングで並べる
- 上から3番目の音を1オクターブ下げる
Cmaj7で具体的に
クローズ(基本形):C - E - G - B
上から3番目はE。これを1オクターブ下げると:
Drop3ボイシング:E(低) - C - G - B
なお、最低音がE(第3音)になっているため、このボイシングは厳密には第1転回形です(転回形は最終的なベース音で決まります)。基本形(ベース音がC)を含む各転回形の作り方は、次の「Drop3ボイシングの転回形」で整理します。
最低音のEと次のCの間に大きな跳躍があるため、ギターではこれが「弾かない弦」として現れます。実際のフォームを見てみましょう。
Cmaj7 Drop3
ギターにおけるDrop3の特徴
1. スキップ弦が生む「広がり」
Drop2は4本の隣接弦を使いますが、Drop3は1本の弦を飛ばして4音を配置します。この間隔が、より開放的でオーケストラ的な響きを生みます。
2. 低音域が使える
Drop3の弦セットは5弦や6弦を含むため、Drop2よりも低い音域が自然に使えます。ベースラインを含んだコードワークや、ソロギターのアレンジに向いています。
3. ミュートのコントロールが必要
スキップする弦をミュートする技術が必要です。通常、押さえている指の腹で隣の弦に軽く触れてミュートします。最初は少し慣れが必要ですが、Drop2を弾ける方ならすぐに感覚をつかめるはずです。
Drop3ボイシングの転回形
Drop2と同様に、Drop3も4つの転回形を持ちます。転回形はボイシングの最低音(ベース音)によって決まるため、各転回形を作るには、そのベース音がクローズドボイシングの「上から3番目」に来る形を起点にします。Cmaj7(構成音:C, E, G, B)で見てみましょう。
基本形(Root Position) — ベース音:C
クローズ:B - C - E - G → 上から3番目のCを下げる → C - B - E - G
第1転回形 — ベース音:E
クローズ:C - E - G - B → 上から3番目のEを下げる → E - C - G - B
第2転回形 — ベース音:G
クローズ:E - G - B - C → 上から3番目のGを下げる → G - E - B - C
第3転回形 — ベース音:B
クローズ:G - B - C - E → 上から3番目のBを下げる → B - G - C - E
ギターでは、Drop3は2つの弦セットで使います。どちらも「1本飛ばし」のレイアウトです。
5-3-2-1弦セット(4弦スキップ)
5弦に最低音を置き、4弦を飛ばして3-2-1弦に残りの3音を配置します。中〜高音域で使いやすいセットです。
第3転回
基本形
第1転回
第2転回
6-4-3-2弦セット(5弦スキップ)
6弦に最低音を置き、5弦を飛ばして4-3-2弦に残りの3音を配置します。低音の存在感が強く、ソロギターやデュオに適しています。
第2転回
第3転回
基本形
第1転回
2つの弦セット × 4つの転回形 = 8パターン。Drop2の12パターンと合わせれば、指板上のあらゆるポジションをDrop系ボイシングでカバーできるようになります。
実践:IIm7 - V7 - Imaj7 で弾いてみる
Drop2の記事と同じく、ツー・ファイブ・ワン(Dm7 → G7 → Cmaj7)でDrop3の響きを体感しましょう。
5-3-2-1弦セット
Dm7
G7
Cmaj7
6-4-3-2弦セット
Dm7
G7
Cmaj7
Drop2と聴き比べてみてください。同じII-V-I進行でも、Drop3のほうがより広いインターバルの響きになっていることがわかるはずです。以下で同じポジション帯のDrop2とDrop3を並べて聴き比べられます。
Dm7
G7
Cmaj7
Dm7
G7
Cmaj7
Drop2とDrop3を使い分ける
両方を覚えたら、場面に応じて使い分けましょう。
| Drop2 | Drop3 | |
|---|---|---|
| 弦の配置 | 隣接4弦 | 1弦スキップ |
| 響き | タイト、まとまりがある | 広い、オーケストラ的 |
| ミュート | 不要 | スキップ弦のミュートが必要 |
| 向いている場面 | コンボでのコンピング | ソロギター、デュオ、低音を活かしたい場面 |
| 弦セット数 | 3(隣接) | 2(スキップ) |
実際の演奏では、ひとつのコード進行の中でDrop2とDrop3を混ぜて使うことも珍しくありません。たとえばAメロはDrop2のタイトな響きで、Bメロは低音域のDrop3で広がりを出す、といったアプローチが効果的です。
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Drop3のフォームは、スキップ弦がある分Drop2より暗算しにくいものです。
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