ギターのオープンコード装飾テクニック — sus4・add9・ハンマリングで弾き語りが変わる
著者 Masashi Y.
C, G, Am, D… オープンコードを一通り覚えて、弾き語りもできるようになった。でも、なんだかいつも同じような響きになってしまう。
プロのギタリストやシンガーソングライターの演奏を聴くと、同じコードなのにどこか豊かで動きがある。その違いの多くは、コードを押さえたまま指を動かす「装飾テクニック」にあります。
この記事では、オープンコードに使える装飾テクニックを、コード別に具体的に紹介します。
装飾テクニックの基本
ハンマリング・オン
弦を押さえている状態から、別の指で弦を叩くように押さえるテクニック。ピッキングなしで音を出します。滑らかに音が繋がるのが特徴です。
プリング・オフ
押さえている指を引っかけるように離すテクニック。ハンマリングの逆で、高い音から低い音への移動に使います。
sus4 → 解決
コードに4度の音を加えた「sus4」の形を作り、そこから指を離して通常のコードに戻す動き。ジョン・レノンからエド・シーランまで、あらゆるギタリストが使う定番テクニックです。
コード別:装飾テクニック集
各コードのフォームはギターコード表で確認できます。
C コード
C → Csus4 → C(ハンマリング/プリング)
通常のCを押さえた状態で:
- 1弦3フレットに小指でハンマリング(F = 4度)→ Csus4
- プリングで戻すと C に解決
よく聴くパターン:ストロークの合間に「タタッ」とsus4の行き来を入れる。
Cadd9
通常のCの形に、3弦の開放弦(G)を活かしたまま2弦3フレット(D = 9度)を追加。2弦1フレットから3フレットにハンマリングするだけで、Cの響きに透明感が加わります。
G コード
G → G6 → G
通常のGを押さえた状態で:
- 1弦3フレット(G)の小指を離す → 1弦開放のE(6度)が鳴り、G6的な響きに
- 小指を戻して G に解決
ウォーキングベース
Gから次のコード(たとえばC)に移るとき、Gコードを押さえたままベース音だけを歩かせます:
- G → A#(5弦1フレット、半音下からBへアプローチ)→ B(5弦2フレット、Gの3rd)→ D(4弦開放、全音上からCへアプローチ)→ C
A#はBへの半音下アプローチ、BはGのコードトーン(3rd)、DはCへの全音上アプローチとして機能します。
D コード
Dsus4 → D → Dsus2
Dは装飾が最もやりやすいコードのひとつです:
- 通常の D(1弦2フレット)を押さえた状態で、1弦3フレットに小指でハンマリング → Dsus4
- プリングで戻して D
- さらに 1弦の指を離して開放 → Dsus2(1弦開放 E = 2度)
D → Dsus4 → D → Dsus2 → D という一連の動きは、1弦上の小指と中指の上げ下げだけで響きの変化を作れる、最もコスパの良い装飾です。
A コード
Asus4 → A → Asus2
Dと同じ原理で:
- Aを押さえた状態で、2弦3フレットに小指でハンマリング → Asus4
- プリングで A に戻す
- 2弦の指を離して開放 → Asus2
ストロークしながらこの動きを入れると、カントリーやフォーク系のサウンドに。
Am コード
Amのハンマリング装飾
Amを押さえた状態で:
- 2弦の指を離してから戻す(開放 B → 1フレット C へのハンマリング)
- あるいは 4弦の開放(D)から2フレット(E)にハンマリング → Am に動きが出る
Am7 → Am → Am7
Am7の状態(3弦開放 = G = b7)から、3弦2フレットに薬指でハンマリングすると Am に。プリングで Am7 に戻す。この行き来だけで、しっとりとした雰囲気を作れます。
Em コード
Em のハンマリング装飾
Emは開放弦が多いので装飾の自由度が高いです:
- 5弦の開放(A)から2フレット(B)にハンマリング → 通常のEmへ。イントロの定番
- 4弦の開放(D)から2フレット(E)にハンマリング → 力強い動きに
Em7 → Em → Em7
Em7の状態(4弦開放 = D = b7)から、4弦2フレットに薬指でハンマリングすると Em に。プリングで Em7 に戻す。この「ふわっと → しっかり → ふわっと」の動きがおしゃれです。
E コード
Esus4 → E
Eを押さえた状態で:
- 3弦2フレット(A = sus4)にハンマリングして、プリングで1フレット(G# = 3度)に戻す
ロックの定番リフに頻出するパターンです。The Who やキース・リチャーズのプレイでよく聴けます。
装飾テクニックの組み合わせ方
ストロークに織り交ぜる
ダウン・アップのストロークの合間にハンマリングやプリングを入れます。ストロークの「隙間」に装飾を入れるのがコツ。全部のストロークに入れるとうるさくなるので、小節の頭や終わりなど、ポイントを絞りましょう。
コードチェンジの瞬間に使う
コードが切り替わる直前に sus4 → 解決を入れたり、ベース音をウォーキングさせたりすると、コードチェンジがスムーズになります。
定番の装飾パターン
多くの曲で使われるパターン:
| パターン | 使用例 |
|---|---|
| sus4 → メジャー | D → Dsus4 → D(Wonderwall / Oasis) |
| add9 | Cadd9(Good Riddance / Green Day) |
| ハンマリング+開放弦 | Em → Em7 → Em(Wish You Were Here / Pink Floyd) |
| ウォーキングベース | G → C のベースライン(Blackbird / The Beatles) |
練習のヒント
1. まずはDから始める
Dsus4 → D → Dsus2 → D は1弦上の指2本の動きで完結するので、最も練習しやすいです。ここで感覚をつかんでから他のコードに応用しましょう。
2. ゆっくりから
装飾はタイミングが命です。メトロノームでテンポを落として、ストロークと装飾のタイミングを正確に合わせる練習をしましょう。装飾を入れるタイミングを理解するには、ダイアトニックコードの仕組みを知っておくと、コード進行の中でどこに装飾を入れると効果的かが見えてきます。
3. 好きな曲をコピーする
装飾テクニックは、実際の曲の中で覚えるのが最も効果的です。好きなアーティストの弾き語り動画を見て、「あ、ここでsus4入れてる」と気づけるようになれば、自分の演奏にもすぐ取り入れられます。
まとめ
オープンコードの装飾は、新しいコードを覚えるのではなく、今知っているコードを「動かす」テクニックです。
- sus4 → 解決: どのメジャーコードにも使える万能テクニック
- ハンマリング/プリング: 滑らかな音の繋がりを作る
- add9: コードに透明感を加える
- ウォーキングベース: コードチェンジに流れを作る
各コードのフォームはギターコード表で確認できます。まずは D の sus4 から試してみてください。指2本の動きだけで、響きが変わることを実感できるはずです。


