オルタードスケールの使い方 — ギターでの押さえ方・フレーズ・ボイシング応用まで
著者 Masashi Y.
「ジャズっぽいフレーズを弾きたいけど、ペンタトニックやメジャースケールだとどうもそれっぽくならない」 「II-V-Iのフレーズで、V7のところだけ何を弾いていいかわからない」
ジャズギターでアドリブに挑戦すると、多くの人がドミナント7thコード(V7)の壁にぶつかります。
その壁を突破する最も強力な道具のひとつが、オルタードスケールです。ドミナント7thコード上で使うことで、緊張感のある「ジャズらしい」サウンドが一気に手に入ります。
この記事では、オルタードスケールの仕組みをアドリブの観点から解説し、さらにボイシングへの応用まで一気に学べるようにまとめました。
オルタードスケールとは
オルタードスケールは、ドミナント7thコード上で使うスケールです。正式にはオルタードドミナントスケールとも呼ばれます。
構成音
G7上で使うGオルタードスケールの場合:
G - Ab - Bb - Cb(B) - Db - Eb - F
通常のミクソリディアンスケール(G-A-B-C-D-E-F)と比べると、ルートと3rdと7th以外のすべての音が変化(alter)しています。
| 度数 | ミクソリディアン | オルタード | 変化 |
|---|---|---|---|
| R | G | G | — |
| 2nd | A | Ab (b9) | 半音下 |
| 3rd | B | Bb (#9) / B | ♮3rdも含む |
| 4th | C | Db (b5/#11) | 半音下 |
| 5th | D | Eb (b13/#5) | 半音下 |
| 6th | E | Eb (b13) | 半音下 |
| 7th | F | F | — |
つまり、ルート・3rd・7thはそのまま(コードの骨格は保つ)で、それ以外をすべてフラットさせたスケールです。この変化した音(b9, #9, b5, b13)をオルタードテンションと呼びます。
なぜ「メロディックマイナーの第7音から」と言われるのか
Gオルタードスケールの構成音を並べ替えると:
Ab - Bb - Cb(B) - Db - Eb - F - G = Abメロディックマイナースケール
つまり、Gオルタードスケールは半音上のメロディックマイナースケールと同じ音の並びです。この関係を知っていると、メロディックマイナーを練習するだけでオルタードスケールも弾けるようになる、という実用的なメリットがあります。
アドリブでの使い方
基本ルール:V7の上だけで使う
オルタードスケールは強い緊張感を持つため、使う場所が限られます。基本的にはII-V-I進行のV7(ドミナント7th)の上だけで使います。
key=Cなら:
- Dm7 → ドリアンスケール(安定)
- G7 → オルタードスケール(緊張)
- Cmaj7 → メジャースケール / リディアン(解決)
V7でオルタードスケールを使うことで「緊張→解決」の流れが強まり、Cmaj7に解決したときの心地よさが際立ちます。
練習のコツ
- まずはメロディックマイナーを覚える — Gオルタード = Abメロディックマイナーなので、半音上のメロディックマイナーの指板パターンをそのまま使える
- 解決先の音を意識する — オルタードスケールのフレーズは、次のコード(Cmaj7)の構成音に半音で解決させるとジャズらしく聞こえる
- 短いフレーズから始める — まずはV7の1〜2拍だけオルタードを使い、徐々に範囲を広げる
フレーズ例
上の構成音セクションで紹介した6弦ルートのポジション(3fr付近)を使った代表的なフレーズです。再生ボタンで響きを確認してみてください。
ボイシングへの応用 — オルタードテンションを含むコード
アドリブだけでなく、コンピング(伴奏)でもオルタードの響きを使えます。シンプルなG7のボイシングにオルタードテンション(b9, b13など)を加えるだけで、ジャズらしい緊張感のあるサウンドが生まれます。
G7にオルタードテンションを加える
G7
G7(b9)
G7(b13)
同じG7でも、b9やb13を1音加えるだけで響きが大きく変わることがわかります。再生して聴き比べてみてください。
ナチュラルテンション vs オルタードテンション
Drop2のボイシングの中の1音をオルタードテンションに変えるだけで、同じフォーム付近で劇的に異なるサウンドが得られます。
G7(ナチュラル)
G7(オルタード)
左のナチュラルなG7に比べて、右のオルタードG7は不安定で緊張感のある響きになっています。この緊張感がCmaj7への解決をより強く引き立てます。
実践:II-V-IでナチュラルとオルタードをUP比較
同じDm7 → G7 → Cmaj7の進行で、G7をナチュラルテンションで弾いた場合とオルタードテンションで弾いた場合を聴き比べてみましょう。
Dm7
G7
Cmaj7
Dm7
G7alt
Cmaj7
オルタード版のほうが、G7からCmaj7への解決で「引っかかり→着地」の感覚がより強くなっていることがわかるはずです。
オルタードボイシングの作り方
既に覚えているDrop2ボイシングやシェルボイシングをベースに、1〜2音をオルタードテンションに置き換えるのが実践的なアプローチです。
置き換えのルール
| 元の音 | 置き換え先 | 効果 |
|---|---|---|
| 9th (ナチュラル) | b9 または #9 | 最も一般的なオルタードテンション |
| 5th | b13 (#5) | 不安定な浮遊感 |
| 5th | b5 (#11) | シャープな緊張感 |
3rd(メジャー3rd)と7th(b7th)はコードの骨格なので変えません。これはオルタードスケールの構造そのもの——ルート・3rd・7thは維持し、それ以外を変化させる——と同じ考え方です。
ルート省略のオルタードボイシング
バンドでベーシストがルートを弾いている場合、ルートを省略して3rd・7th・オルタードテンションだけで構成するボイシングが効果的です。
G7alt
まとめ
オルタードスケールは、ジャズのサウンドを決定づける最も重要なスケールのひとつです。
- アドリブ — V7上でオルタードスケールを使うと「緊張→解決」が強まる
- ボイシング — Drop2やシェルの1〜2音をオルタードテンションに置き換えるだけで、コンピングにもジャズらしい緊張感が生まれる
- 共通の原理 — ルート・3rd・7thを残し、それ以外を変化させる
アドリブとボイシングは別の技術のように見えて、「オルタードテンションを使う」という点では同じ考え方です。両方を同時に練習することで、ハーモニーの理解がより深まります。
II-V-I進行でのコードトーンからスケール、テンションへの段階的なアプローチについては、II-V-I をコードトーンから攻略するで詳しく解説しています。
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